2児のパパスイマーの“継続は力なり”!

マスターズ水泳歴10年。短時間で効率良い練習を日々研究。-理学療法士からの視点を踏まえて-

正しいフォームローラーの扱い方 ~感覚器へのアプローチとして~

どうもパパかっぱです。

 

 

前回、強い局所的なマッサージは絶対にやめた方が良いという記事を書きました↓↓

 

www.papakappa-swim.com

 

 

ただ、スイマーって結構フォームローラー使っている人いますよね?

 

レース会場でコロコロしている姿をよく見かけます。

 

急にフォームローラーやめた方が良いと言われても信じれない方もいらっしゃるでしょう。

 

ただ、フォームローラーを全否定しているわけでなく、やり方には気を付けた方が良いというお話です。

 

では、正しい使い方を勉強していきましょう。

 

 

 

 

 

正しいフォームローラーの扱い方

 

 

 

www.fitevangelist.com

 

英語で言うFasciaは、日本で言われれているいわゆる筋膜とは違い、皮膚やその下の皮下組織、脂肪層、膜組織まで含む広い括りで捉えられる組織です。また、細胞外基質という組織の元になっているものも含まれます。

筋膜研究の発祥の海外でいうFascia=(日本で言う)筋膜ではないという事です。

ここに大きな誤解が生まれています。

日本で言われている筋膜は、非常に狭い範囲のものを指していることが多いです。

そしてFasciaと言われる膜はその内容成分や要素によって硬さや柔らかさが大きく変わります。

重要なのはFasciaには筋肉にない神経の受容体(センサーのようなもの)があるところで、そこに刺激を加えるのがリリースには非常に大事な要素で、これが本来の筋膜リリースです。

日本で言ういわゆる筋膜リリースは、フォームローラーでコロコロして癒着した筋膜をベリベリ剥がしたりするイメージですが、コロコロしたくらいで筋膜は変化しません。

ただ、Fasciaという広い括りになると、受容器の刺激を介してFasciaリリースにはなります。それも筋膜が剥がれたり伸びたりするということではなく「痛みの感覚が変化する」という意味ですが。

ややこしい話になりましたがコロコロローラーで「筋膜リリース」というイメージでは「筋膜」は変化しないし、リリースできません。

しかしながら間接的に組織のセンサーから刺激を入れる「Fasciaリリース」なら可能かもしれないということです。

 

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強い圧で行うフォームローラーのセルフリリースは実はマッサージの4倍ほどの圧力がかかっています。

しかし! 筋肉痛や可動域の向上というレベルでアプローチしたいのはそれほど深い部分ではなく表層の部分。表層にアプローチするにはソフトなやり方で十分です。


また、逆にそれだけの力がかかっても深い位置にある解剖学上の「筋膜」はワイヤーロープよりも固く、ゴリゴリしたくらいではリリースできません。 ということでゴリゴリの強圧刺激というのは目的に合わないやり方なのです。

また、ローラー自体の硬さという話もあります。

こちらの研究だとローラーの硬さは可動域や痛みの関係しないとの事です。

 

硬いのが効くと思っている方も多いですが、硬かろうが柔らかろうがお伝えしてきたように刺激が入るレベルであててやれば、それなりに可動域が上がったり痛みを抑えたりする効果があります。 自分が心地よく感じる硬さを選ぶのが一番です。


逆に硬いローラーで強くゴリゴリしないと!って思っている人は要注意です。組織を痛めてしまい、痛みの感覚を狂わせます。何事もほどよくです!

 

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ちょうどいい刺激というのは「当たっている」と感じられるレベルの感覚や振動の感覚になります。

多くの方がやられているのは「当たっている」レベルではなくゴリゴリの「つぶしている」レベルになるのでちょうどいい刺激とは言いがたいです。

「体のかさぶた」をとってやる!というイメージではなく「ちょうどいい刺激」を与えてやるという方がコンディショニングのためには有効です。

 

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この線維芽細胞は、皮膚などのコラーゲン組織を活性化させるということはわかっていましたが、この他にFasciacyeという細胞があり(英語ですみません)、こちらは筋膜(Fascia)の粘着成分であるヒアルロン酸やグルコサミノグリカンといった成分を活性化させるということがわかってきました。

日本の学会でもようやく発表されましたが、筋膜リリースというのはコラーゲンなどの線維を変えるものではなく、このようなFasciacyteを介してヒアルロン酸などの基質成分を変化させて、「(筋膜)Fasciaの流動性を変える」ものであるということが最新の見解です。


つまり、これまでの繰り返しですが「ローラーでゴリゴリするな!適度な刺激で筋膜の流動性を上げろ!」というアプローチの見解と一致します。

くれぐれもフォームローラーでゴリゴリ皮膚を刺激するのは控えましょう。

そして、この画像のようなものは「筋膜」リリースではなく、Fasciaの基質成分、水分を変化させることでの付帯的なリリースという認識を持っていただくとよいかと思います。

「筋膜」という線維組織をリリースしようとすると必要以上にゴリゴリしてしまいますから。

 

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フォームローラーをすることで骨格構造は変化はなかったが関節の可動域は向上したという研究でした。

つまり可動域の変化という運動をする上での有益な変化は生み出すということです。

この学会でもFascia(筋膜)の構造的、解剖学的な役割よりも感覚器としての役割が注目される傾向にありました。

Fascia(筋膜)を柔らかくするためにコロコロすると強く押しすぎたりという弊害も生まれます。

フォームローラーはそのようなFascia(筋膜)を柔らかくするようなものではないが、運動前、運動後の可動域をあげたり運動の感覚を改善したりという目的で使用すると効果が期待できるツールである!という現在の見解かと思います。

 

 

 

私なりのポイントは

 

●英語で言うFascia…皮膚やその下の皮下組織、脂肪層、膜組織まで含む広い括りで捉えられる組織。また、細胞外基質という組織の元になっているものも含まれる。

 →日本での筋膜…非常に狭い範囲のものを指していることが多い。

 

●Fasciaには、筋肉にない神経の受容体がある

 →そこに刺激を加えるのが本来の筋膜リリース

 ⇒コロコロローラーで「筋膜リリース」というイメージでは「筋膜」は変化しないし、リリースできない。

 

 

●硬いローラーで強くゴリゴリは、組織を痛めてしまい、痛みの感覚を狂わせる。

 →ちょうどいい刺激、つまり「当たっている」と感じられるレベルの刺激で。

 

●筋膜リリースというのはコラーゲンなどの線維を変えるものではない

 →Fasciacyteを介してヒアルロン酸などの基質成分を変化させて「(筋膜)Fasciaの流動性を変える」

 ⇒Fasciaの基質成分、水分を変化させることでの付帯的なリリースという認識を持つ

 


●フォームローラーで関節の可動域は向上する

 →Fascia(筋膜)の構造的、解剖学的な役割よりも感覚器としての役割

 ⇒運動前、運動後の可動域をあげたり運動の感覚を改善したりという目的で使用すると効果が期待できるかも

 

 

 

 

 

感覚器として捉える

 

我々医療人から見たら怪しげな言葉が、世間では一人歩きすることって多々あるんですよね。

 

骨盤矯正、肩甲骨はがし、筋膜はがしなどよく意味が分からない言葉が流行しており、流行っているからマッサージ屋さんや整体屋さんがここぞとばかりに使う。

 

悪循環です。エビデンスも何もないままに。

 

医療に限らず世の中なんでもそうですけどね。

 

利権やお金がからんでいない情報なんてないに等しいですよね。

 

それ故に、情報を受け取る側のリテラシーを高める必要があると思っています。

 

 

さて、前回も書きましたが絶対に避けた方が良いのは、フォームローラーでこれでもかというくらい体重を載せて“ゴリゴリ”と行うことですね。

 

おそらく筋膜はがしなどという言葉が独り歩きしたせいで、はがさなきゃと思って強くやってしまうのかもしれません。

 

そもそも筋膜なんてはがれません。

 

深筋膜にアプローチしようとしたらものすごい力が必要です。もしくはドクター診察の基行うハイドロリリースなどしかありません。

 

自身にてアプローチ可能なのは、表層の筋膜です。

 

そもそも、日本でいう筋膜はとても狭義な意味で用いられいることが多いです。

 

本来は『Fascia』と言って、皮膚やその下の皮下組織・脂肪層・膜組織・細胞外基質と広義な意味での膜なんですよね。

 

このFasciaに対して、フォームローラーでちょうどいい心地よい刺激を与えることで、ヒアルロン酸などの基質成分を変化させてFasciaの流動性を変えることが出来る。

 

それにより、可動域があがったり、運動の感覚の改善が期待できるといった流れです。

 

あくまでも、固有感覚受容器として捉えるべきなんですね。

 

ゴリゴリにはがす必要なんて全くなくて、ゴリゴリはむしろ組織を潰したり、癒着をつくったりして逆効果になってしまいます。

 

何事も“ちょうどいい”が良いんですね。

 

 

 

まとめ

 

 

フォームローラーはちょうどいい刺激で!感覚受容器へのアプローチとして捉えよう。

 

 

では。