どうもパパかっぱです。
今回も面白い論文を見つけました。
私は職業柄論文を読むのが結構好きなんですよね。
昔は1日1論文読んでいました。ホントは脳卒中や解剖学の論文をもっと読まなければいけませんね・・・。
最近は理学療法士よりスイマー・トレーニーとしての割合が増えてきている気がします。
これは良くないことなのか、良いことなのか・・・。
さて、今回は競泳選手の膝に着目したお勉強です。
反張膝が競泳のドルフィンキック動作に及ぼす影響
競泳競技において反張膝は,陸上での競技とは逆に有利な身体的特徴だといわれている。競技水泳にとって反張膝は,膝の関節可動域が(伸展方向に)さらに拡大されるため,通常の膝よりも多くの水をとらえることができる特徴を有する。
先行研究では,反張膝を有する選手は,クロール泳動作中において膝過伸展可動域でもキック動作を行えていることが確認されている1)。反張膝を有する選手は,正常の膝の選手と比べて過伸展部でのキック動作が可能となり,その分だけ正常の膝の選手よりも有利になる。また,反張膝を有する選手は全体的に優れた柔軟性を有することは水泳選手にとって有利であるとされている2)。これらのことからも,反張膝を有することは競泳において有利な身体的特徴であるとされている。
そこで本研究では,反張膝が水泳選手のパフォーマンスに与える影響を明らかにすることを目的とし,反張膝を有する選手に対して,通常の状態での泳パフォーマンスとテーピングにより反張膝を制限した条件での泳パフォーマンスを比較することとし
た。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
テーピングなし条件は1.54±0.17m/s,テーピングあり条件で1.48±0.14m/sと,テーピングにて膝関節過伸展を制限することにより,泳速度は約4%の有意な低下を示した(P<0.05)。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
先行研究において反張膝の選手は過伸展の可動域におきてもキックを行っていることから1),テーピングあり条件で膝過伸展を制限したことにより,過伸展可動域におけるキック動作が不可能になり,その結果として泳速度が低下したと考えられる。この結果は,膝関節の過伸展可動域におけるキック動作が,競泳のドルフィンキック動作における泳速の増加に寄与していることを示唆している。
テ ー ピ ン グ に よ り 低 下 し た 泳 速 度 は, 平 均0.064m/sである。この差は100mにおいて2.79秒の差になる。この差は,0.1秒を競う競泳競技において重大な差となることから,膝関節の過伸展という身体特徴は競泳選手にとっては非常に競技成績に有
利に働くと言っていいであろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本研究では,反張膝が水泳のパフォーマンスに与える影響を明らかにすることを目的とし,反張膝を有する選手に対して,通常の状態での泳パフォーマンスと,テーピングにより反張膝を制限した条件での泳パフォーマンスを,水中ドルフィンキック動作にて比較した。その結果,テーピングによる膝関節過伸展の制限によって泳速度は有意に低下した。この結果は,膝関節過伸展の可動域におけるキック動作が,競泳のドルフィンキックにおける泳速の増加に寄与していることを示唆し,反張膝は水泳選手のパフォーマンスに良い影響を与えていることが明らかとなった。
私なりのポイントは
●競泳選手は反張膝が身体的特徴
→膝の過伸展部でのキック動作が可能となる
→通常の膝よりも多くの水をとらえる
⇒競泳のドルフィンキック動作における泳速の増加に寄与
●反張膝の選手に対してテーピングにより反張膝を制限した条件、しない条件で水中ドルフィンキック動作で比較
→テーピングによる膝関節過伸展の制限によって泳速度は有意に低下
⇒過伸展は競泳のドルフィンキックにおける泳速の増加に寄与していることを示唆
⇒パフォーマンスに良い影響を与えている
競泳選手の特徴
競泳選手の特徴などは過去にも色々調べております↓↓
こういうスポーツ特有の身体的特性があるってのはとても面白いですよねー。
色々知っておくと、仕事にもめちゃくちゃ役立ちます。
元々持っている身体的特徴が、脳卒中後のポテンシャルにもかなり影響しますからね。
さて、今回は反張膝。
反張膝って聞き慣れないかもしれませんね。
簡単に言うと、膝が過伸展している状態です。逆『く』の字みたいなイメージですかね。
子供、特に女児の膝なんかは過伸展気味の子が多いですね。
うちの長女も過伸展位です。
この過伸展、我々の業界では基本的にはあまり好ましくないイメージがあります。
膝の靭帯や関節に負荷がかかってしまいますからね。
要因は色々考えられて、
・大腿四頭筋の筋力低下
・体性感覚の低下
・関節構成帯の弱化
・足部や股関節の運動連鎖
などなど、原因はその人独自のリーズニングが必要になります。
脳卒中患者さんによくみられる特徴です。
ただ、この反張膝、速い競泳選手には有利に働くみたいです。
北島選手やフェルプス選手もそうだったみたいですよ。
反張膝になることで、より多くの水を捉えることができるみたいです。
その結果、ドルフィンキックのパフォーマンスの向上につながるんですね。
これは驚きました。
ただ、だからといって『よし!反張膝になろう』とは思わないでくださいね。
おそらくトップアスリートは小さい頃から何万回も水中でキックをしてきたことで、そういう身体的特徴になったと思います。
基本的には、陸上に住む我々は反張膝ではないに越したことはないと思います。
こういう特徴があるんだな、という具合に頭に入れておくと良いかもしれません。
ここから学べることは、ドルフィンキックの際には、膝は柔らかく力を抜いて打つことが大切かもしれませんね。
まとめ
競泳選手は反張膝という身体的特徴があり、ドルフィンキックのパフォーマンスに寄与している
では。