2児のパパスイマーの“継続は力なり”!

マスターズ水泳歴12年。短時間で効率良い練習を日々研究。-理学療法士からの視点を踏まえて-

【論文考察】一流選手の従来のトラックスタートと新しいキックスタートのバイオメカニクス的比較

どうもパパかっぱです。

 

 

前回から始まりました『バックプレート付き飛び込み』についての知識を付けよう会。

www.papakappa-swim.com

 

調べるなら徹底して調べますよ。

 

続きます。

 

 

 

一流選手の従来のトラックスタートと新しいキックスタートのバイオメカニクス的比較 

 

 

 

http://swim.or.jp/fwp/wp-content/uploads/2021/03/backplate.pdf

 

14 名の一流水泳選手(男性9名;年齢 20.8±3.0 歳、女性5名;年齢 21.4±2.8 歳)とした。全員オーストラリアスポーツ研究所(AIS)の水泳チームのメンバーであった。参加者の個人ベスト記録はすべてFINAポイント 850 点以上を達成していた。 

 

1)参加者には最大努力で飛び込み、キックや泳動作をせずに、勢いが止まるまでグライドするように指示した。
2)参加者は3回のキックプレートを使った「飛び込みからグライド」と、3回の従来のトラックスタートを無作為の順序で行った。
3)統計的にキックスタート(バックプレートを利用したスタート)と従来のトラックスタートのパフォーマンスの違いを表 1 に示した。
4)男子はトラックスタートとキックスタートの両方について女子よりも速く、高い速度を記録した。
5)示した全ての力の値は、参加者の体重によって正規化し、体重(BW)の何倍かで表現した。 

 

 

◆結果
1)5mと 7.5mの通過時間のパフォーマンス指標を見たときに、キックスタートが有意に優れていることを示した。
2)新型スタート台での平均ブロック時間がキックスタートの 0.77s は、トラックスタートの 0.80S に比べ有意に優れていることを示した。
3)キックスタートが有意に(P <0.01)0.03 秒、離台時間が短かった。
4)キックとトラックの差が 0.01 秒より小さい値で、有意な差であった。
5)トラックスタートよりキックスタートの優れた点は、5mと 7.5mの通過時間の両方で有意に 0.04 秒程度速かったことである。この差はスタート台の性能の向上を示すが、その後は有意な差は見られなかった。

 

 

 

◆考察
全参加者がキックスタートの5mと 7.5mの通過時間が、トラックスタートに比べて速かったという事実は、キックスタートがトラックスタートに比べ、優れていることを示している。
キックスタートの平均水平分力は、トラックスタートより有意に高く、離台時間が短く、離台速度も高い両立を示した。これは、キックプレートは水平方向の力積を犠牲にすることなく、ブロック時間を短縮することを示している。後方の足が上げられることと、より水平方向に力を発揮できることの利点は、水平方向速度を増した身体の前方への移動に、直接的に力を用いることができることである。大きな水平速度を得ることは、全体的な飛び込みのパフォーマンスに貢献すると見られている。
スタート台を離れるときに有意に大きな水平速度があっても、これが5mから 7.5m平均速度には表れない。これは、スイマーがキックスタートからより減速することを示唆している。これが唯一の飛び込みとグライド研究であるが、これは驚くに値しない。流体中の移動体に作用する抵抗が速度の二乗に比例するので、より高い速度は、より大きな抵抗をもたらす。キックを利用できるスタートで、より高い速度を維持するための方法があるかもしれない。
本研究の結果、新しいスタートプラットフォーム上でのキックスタートは、従来のトラ
ックスタートより有意に高速になることが示された。水泳のスタートに関する先行研究では、それが「何が最も得意か、最も得意なものがベストだ」と示唆する傾向にある。
参加者自身のトラックスタートという好みと、経験による技術的な偏見にもかかわらず、キックスタートは高い水平速度と水平分力から、有意に離台時に高い水平速度を示した。
この利点は、5mと 7.5mの通過時間でも維持された。水中キックとストロークへの移行の影響を含めた 15m全体のスタートを見るさらなる研究が、キックスタートに必要とされるが、コーチと選手が、新型スタート台に適応する技術の習得に時間を費やすべきであると推奨する。

 

 

 

私なりのポイント。キックスタートにおいて

 

●5mと 7.5mの通過時間のパフォーマンス指標

 →有意に優れている

 

●離台時間

 →有意に(P <0.01)0.03 秒短かった

 

●平均水平分力

 →有意に高く、離台時間が短く、離台速度も高い両立を示した。

 ⇒キックプレートは水平方向の力積を犠牲にすることなく、ブロック時間を短縮する

 

●後方の足が上げられることと、より水平方向に力を発揮できることの利点

 →水平方向速度を増した身体の前方への移動に、直接的に力を用いることができる

 ⇒大きな水平速度を得ることは、全体的な飛び込みのパフォーマンスに貢献する

 

 

 

キックスタートを用いることで5m、7.5mを速く通過できる

 

なるほど、やはりプレートを使うとデータとしても有意に5m、7.5mの通過時間が優れているということですね。

 

これはプレートの使い方を覚えない手はないですね。

 

前回の記事と同様、水平方向の力が重要になるみたいですね。

 

さらに、離台時間と離台速度も速いのでそりゃタイムも伸びるよね、と。

 

後脚でしっかりと蹴ることが加わることで、台から離れる時間も速くなるし、水平方向の速度も増せる、のがメリットですね。

 

当たり前っちゃ当たり前かもしれませんが、当たり前を科学するってのがロマンですからね。

 

ふむ、現象の特徴はざっくり掴めてきました。

 

では、今までのスタートと違い、キックスタートの構成要素としては何が大切かが理学療法士スイマーとしては気になるところ。

 

今なんとなく考えているのは、

 

・両脚の足部の可動性

 

・後脚の下腿三頭筋の筋出力

 

・前脚の大腿四頭筋の筋出力

 

・前脚の股関節伸展筋の筋活動

 

らへんがキーワードになってきそうな予感がしてます。

 

もっとたくさん文献なり知見を参考にしてから私なりのまとめを書きたいと思います。

 

 

 

 

まとめ

 

キックスタートは、蹴ることで速く飛び出すのでタイムが上がりやすい

 

では。