2児のパパスイマーの“継続は力なり”!

マスターズ水泳歴10年。短時間で効率良い練習を日々研究。-理学療法士からの視点を踏まえて-

【論文考察】広背筋の上部線維と下部線維の作用に関する筋電図学的分析

どうもパパかっぱです。

 

 

いやー、寒いですね。

 

健康のために身体を冷やさないってのが大事みたいなので、私は意識して白湯を飲むようにしています。

 

特に朝の寝起きは水分も足りていないし、体温を上げたいのですぐに白湯飲んでいます。

 

おススメです。

 

 

さて、今回も論文を読んでお勉強しましょう。

 

『広背筋』についてです。

 

 

 

 

 

 

 

広背筋の上部線維と下部線維の作用に関する筋電図学的分析

 

 

 

 

 

ci.nii.ac.jp

 

【目的】広背筋は背部の複数の部位から起始し、停止部で上下の筋線維が反転して付着する。このような広背筋の筋線維による解剖学的な違いはよく知られているが、運動学的な違いについては知られていない。Patonらは広背筋を6つの部位に分けて肩関節運動時の筋活動を測定し、部位別の差異があることを報告している。我々は第41回日本理学療法学術大会において、広背筋を5つの部位に分け、肩関節運動に加え体幹側屈運動時の筋活動を調べ、運動学的に上部線維と下部線維の2つに分けられることを報告した。今回の研究の目的は、前回の測定項目に体幹伸展、体幹回旋運動を加え、広背筋を上部線維(ULD)と下部線維(LLD)に分けて筋活動を測定することで、ULDとLLDの作用について明らかにすることである。

 

【対象と方法】本研究に同意を得た健常成人男性14名(平均年齢20.9±2.4歳)を対象とした。筋電図の測定はNoraxon社製MyoSystem1400を使用し、右側のULDとLLDの2ヶ所にて行った。第7頚椎棘突起と上前腸骨棘を結んだ線上で、ULDは第7胸椎レベル、LLDは第12胸椎レベルの位置にそれぞれ筋線維に平行に表面電極を貼付した。測定項目は肩関節運動として腹臥位にて右肩関節内旋・水平伸展・内転・下方突き押しの4項目、体幹運動として腹臥位体幹伸展、側臥位体幹右側屈、端座位体幹右回旋・左回旋の4項目の計8項目とした。各運動項目を5秒間最大等尺性収縮させた時の安定した3秒間の積分筋電図値(IEMG)を求め、それらを徒手筋力検査に準じて測定した肩関節伸展最大等尺性収縮時のIEMGを100%として正規化し、各筋線維ごとに%IEMGを求めた。また、各運動項目のULDとLLDの筋活動比(LLDの%IEMG/ULDの%IEMG)を求め、Friedman検定を用い比較検討した。

 

【結果と考察】ULDの%IEMGは水平伸展で61.6±20.8%と最も大きく、以下内転41.3±15.6%、体幹右回旋35.4±29.8%、下方突き押し34.7±26.1%、体幹側屈30.5±20.6%、内旋29.5±17.1%、体幹伸展28.1±9.3%、体幹左回旋4.9±3.1%であった。LLDの%IEMGは体幹側屈で100.7±28.4%と最も大きく、以下下方突き押し83.2±28.9%、体幹右回旋66.3±27.5%、内転54.6±21.9%、体幹伸展42.2±11.7%、水平伸展36.8±16.5%、内旋19.8±10.7%、体幹左回旋8.0±5.0%であった。筋活動比は運動項目間において有意な差がみられ(p<0.01)、体幹側屈で最も大きな値を示し、反対に肩関節内旋や水平伸展で最も小さな値を示した。今回の研究により、ULDは肩関節内旋や水平伸展時に選択的に作用し、LLDは体幹側屈時に選択的に作用することが明らかになった。

 

 

 

私なりのポイントとして

 

 

●広背筋は背部の複数の部位から起始し、停止部で上下の筋線維が反転して付着する。

 

●広背筋は上部線維と下部線維の2つに分けられることを報告

 →上部線維は肩関節内旋や水平伸展時に選択的に作用する

 →下部線維は体幹側屈時に選択的に作用する

 

 

 

 

肩関節の内旋に着目

 

広背筋って水泳においてかなりのキーマッスルですよね。

 

私も以前から広背筋については度々取り上げています↓↓

 

www.papakappa-swim.com

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ポイントは肩関節内旋作用があるってところです。

 

 

まずは解剖を見てみましょう。

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https://muscle-guide.info/latissimusdorsi.html

 

腰や骨盤から始まり、上腕骨の小結節稜というところに捻じれながら付きます。

 

広背筋と言えば肩関節伸展ですが、上腕骨の内側に着くのがポイントで、肩関節内旋の作用も有します。

 

今回の論文より、広背筋上部線維が選択的に肩関節内旋させるみたいですね。

 

 

競泳において広背筋は、Hardであればエントリーの瞬間から活動します。

 

プルとプッシュで強い肩関節伸展が起きることで、水を押し出し推進力がうまれます。

 

そんな中、広背筋が働き肩関節が内旋するメリットとしては、入水後に肩内旋を伴いながら前腕が内外することで手の泡を逃がせるんじゃないかな、と私なりの仮説です。

 

実際に池江選手のクロールを見ると、入水直後に前腕回外させて掌についた泡を除去している姿がみられます。

 

これは私も意識して練習しているのですが、とても高度なテクニックでテンポを速めながらやろうとするととても難しいです。

 

 

さらに、塩浦選手は広背筋を使って背中で水を押す感覚が大事とおっしゃっています。

 

その際、手~前腕で面をつくり、広く水を捉えることがポイントでした。

 

また、広背筋は腰から腕の上部までついているのでとても長い筋肉です。

 

つまり、モーメントアームが長いです。

 

それ故に、とても強い力が期待できます。

 

ただし、モーメントアームが長いが故に、コントロールできる強い筋力が必要になります。

 

水を力強く押せるだけのパワーと身体の使い方は身に付ける必要はありますね。

 

 

うーん、考えれば考えるほど色々な面で広背筋大事な気がしてきますね。

 

参考になれば。

 

 

 

 

 

まとめ

 

 

広背筋上部線維が肩関節内旋の作用があり、メリットを理解しよう

 

 

では。