2児のパパスイマーの“継続は力なり”!

マスターズ水泳歴12年。短時間で効率良い練習を日々研究。-理学療法士からの視点を踏まえて-

【論文考察】小学生のクロール泳中における 呼吸動作習得の学習指導に関する研究

どうもパパかっぱです。

 

 

初心者の最初の最大の難関、クロールにおける「呼吸」動作。

 

ここで躓いて水泳が嫌になってしまう子が多いでしょう。

 

とても興味深い論文をみつけたのでお勉強しましょう。

 

 

 

小学生のクロール泳中における 呼吸動作習得の学習指導に関する研究

 

 

 

http://ir.jwcpe.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/670/1/nichijo_kiyo44-04.pdf

 

小学校中学年では,高学年における技能目標として位置付けられている「長く泳ぐ」ために必要な基礎を身に付けておくことは重要であるといえる.金沢と吉永は,高学年の技能目標である「クロールで続けて長く泳ぐこと」を達成するための前段階として,同書において中学年の浮く・泳ぐ運動の内容に例示されている「面かぶりクロール」の習得に向けた学習指導プログラムの作成ならびにその有効性について検証を行い,成果をあげている.しかしながら,呼吸動作習得には着目をしておらず,呼吸動作習得のための学習指導プログラムの有効性は未だ検証されていない.

 

下田ほかは,教師がクロールを指導する際に最も多くみられるなつまずきとして息継ぎをあげており,多くの児童において「顔が正面を向く」傾向にあることを報告している.柴田は,図1のように頭を前に上げることによって,脚がバランスをとるために沈み,ますます呼吸がしにくくなるとを述べている.呼吸の習得方法について,多くの指導書では,「横を向くこと」という記述がみられる.しかしながら合屋が指摘するように,顎を引き,前頭面に対して首を左右に回す「非日常的な呼吸動作」の獲得は容易ではなく,呼吸動作の習得はクロール泳を習得する過程で重大なつまずきのひとつになるだろう.

 

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多くの児童は,バタ足に関しては,推進力のあるバタ足が身に付いていないことが多いため,講座全体を通じてビート板を使った「ビート板バタ足」と,クロールの前段階として小学校学習指導要領に示されている「面かぶりクロール」を,クロールの呼吸を指導する前に行った.「ビート板バタ足」は,顔を入れた状態で行うものとした.この理由には,以下の2点が挙げられる.1つ目は,水面に対して水平な姿勢を身に付けさせるためである.松井と杉原が報告するように,バタ足中のビート板を押す力は,頭の位置が上がった姿勢になるほど大きくなり,頭の位置が上がるほど下半身が沈み胸の反った姿勢になることが明らかにされている.また,ビート板を用いたキックでは,ビート板を押す力が小さくなるような頭の位置が望ましく,それを行うことによって進行方向に対する抵抗の少ない姿勢が可能になることが示唆されているからである.もう一つは,水泳における呼吸動作の重要な要因である「吐く」ことを身に付けさせるためである.
多くの専門書において,陸上で自然にできる呼気も,水中では意識的に呼吸筋を使った呼吸が必要であると示されている.そこで,顔を付けた状態で『1・2・ブクブク・パッ』と数えるようにし,「ブクブク」のところで息を吐かせるように指導した.
第2回目からは,クロールの呼吸動作習得のための教材として「ひっくり返りクロール」と「片手クロール」を行った.大貫によれば,初心者が顔を前に上げてしまう原因として,ローリングが心理的抵抗を表しているとしている.それを克服するための教材として「コロン泳ぎ」(図2)がある.そこで,我々は,コロン泳ぎを参考にローリングすることによって,意図的に伏し浮き姿勢から背浮き姿勢へと姿勢変換できる力を育てることを目的とした「ひっくり返りクロール」(図3)を開発した.具体的には,①面かぶりクロールで泳ぎ,4かき目で呼吸動作に入る,②水をかかない側の手は前方へ伸ばしたままでひっくり返る,③両手が前方にある状態で背浮きの状態になったら一度立つ,であり,この①から④を繰り返し行う内容とした.
留意点は,手がかき終わる時点で体を回転させる,天井をみる,そして水をかかない側の手は前方へ伸ばす,の3点とした.「片手クロール」では,前方に伸ばしている手に浮力2.3kg のビート板(ARN-100,デサント社製)を用いた.理由は,通常サイズのビート板(85ZB751,ミズノ社製,浮力約4.8kg)よりも浮力が少ないので,よりビート板を持っていない時に近付けるためである.

 

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本研究では,クロール泳中の呼吸動作習得のための教材を開発し,その有効性を検証するとともに,学校現場における適用可能性について検討した.その結果,本研究で開発した「ひっくり返りクロール」は,呼吸中のストローク動作の習得に効果的である可能性がえられた.しかしながら,ストローク動作以外に関しては,有効性を確認することはできなかった.また,今回のプログラムの時間数では,技能レベルは維持されるが向上させることは難しい可能性が쬠えられた.
今後の課題として,教材そのものの有効性,また時間数を増やすことによる変化について検討する必要があると考えられる.

 

 

 

私なりのポイントは

 

 

●多くの児童において呼吸時「顔が正面を向く」傾向にある

→脚がバランスをとるために沈み、ますます呼吸がしにくくなる

 

●呼吸の習得方法

 →顎を引き,前頭面に対して首を左右に回す「非日常的な呼吸動作」の獲得は容易ではない

 

●陸上で自然にできる呼気も、水中では意識的に呼吸筋を使った呼吸が必要である

 →顔を付けた状態で『1・2・ブクブク・パッ』と数えるようにし,「ブクブク」のところで息を吐かせるように指導

 

●クロールの呼吸動作習得のための教材として「ひっくり返りクロール」と「片手クロール」

 →初心者が顔を前に上げてしまう原因として、ローリングが心理的抵抗

 ⇒それを克服するための教材として「コロン泳ぎ」

 

●コロン泳ぎを参考にローリングすることによって、意図的に伏し浮き姿勢から背浮き姿勢へと姿勢変換できる力を育てることを目的とした「ひっくり返りクロール」

 ①面かぶりクロールで泳ぎ,4かき目で呼吸動作に入る

 ②水をかかない側の手は前方へ伸ばしたままでひっくり返る

 ③両手が前方にある状態で背浮きの状態になったら一度立つ

  ・手がかき終わる時点で体を回転させる

  ・天井をみる

  ・水をかかない側の手は前方へ伸ばす

 

●「ひっくり返りクロール」は、呼吸中のストローク動作の習得に効果的である可能性

 

 

 

非日常の動きである

 

我が子には基本的に水泳は教えないスタンスをとっている私ですが、さすがにクロールの呼吸までくると教えないわけにはいきません。

 

あと今成人の初心者に教えているのですが、やはりクロールの呼吸で躓いています。

 

どう伝えればいいか悩んでいたところ、この論文を見つけ良い学びとなりました。

 

初心者が呼吸をしようとすると、前に顔と身体を上げてしまい足が沈むため、余計に抵抗がかかり沈んでしまいますよね。

 

指導方法の中で「ひっくり返りクロール」「コロン泳ぎ」を取り入れてみたいと思いました。

 

伏し浮き姿勢→背浮き姿勢へと姿勢変換することで、まずは恐怖心を減らしていくと。

 

その中で、横を向くことへの抵抗感を徐々に減らしていき、頸椎を分離させていく

 

ふむふむ、これは良いかも知れませんね。

 

 

もう一つの気づきとしては、『呼吸を意識的に吐く』ということが非日常的な動作であるということを改めて気づかされました。

 

たしかに普段している呼吸は、中脳で無意識に制御されているため意識することないですもんね。

 

水泳において呼吸する際には、意識して息を吐く、吸う行為をしなければいけません。

 

まずはここを大脳皮質を使って練習することから始めるべきかもしれませんね。

 

『顎を引き、前頭面に対して首を左右に回す』動作自体もたしかに非日常的かもしれません。

 

生活してて頸部だけ左右に回すことってあんまないですもんね。

 

これらの運動もまずは陸上で練習してから望むと成長が早いのかなー、と思いました。

 

ぜひ試してみたいと思います。

 

 

 

まとめ

 

息を吐く練習。首を真横に動かす練習。

 

ひっくり返りクロールの練習をして、呼吸をマスターしよう。

 

では。