2児のパパスイマーの“継続は力なり”!

マスターズ水泳歴12年。短時間で効率良い練習を日々研究。-理学療法士からの視点を踏まえて-

【論文考察】『股関節角度変化が内側広筋と外側広筋の伸張に与える影響』から考えるバタフライキックの効率的な打ち方

どうもパパかっぱです。

 

 

最近また私の中でバタフライブームが来ております。

 

頸椎症を患ってから一時は封印してたんですが、昔からの得意種目ということで結局また戻ってきちゃうんですよね。

 

なんだかんだ離れられない元カレ、元カノみたい関係です(?)。

 

離れてはくっつき、くっついたら嫌なところが見えてまた離れ・・・。離れたら寂しくなってまた戻ってしまう。

 

男女と一緒ですわ!

 

 

今までも何度もバタフライのキックについては色々な角度から考察してきました↓↓

 

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キーワードとしては『股関節内旋』ですね。

 

 

論文を読み、さらに新たな知識を加えていきましょう。

 

 

 

 

 

 

股関節角度変化が内側広筋と外側広筋の伸張に与える影響

 

 

 

【はじめに、目的】単一筋の伸縮によって周囲の筋膜が引き伸ばされ、隣接している筋が変形すること(筋膜張力伝達)が先行研究で報告されている。単に筋の走行を考慮すると、大腿四頭筋を構成する筋のうち、二関節筋である大腿直筋は股関節伸展かつ膝関節屈曲により伸張される。一方で、単関節筋である内側広筋や外側広筋は膝関節屈曲により伸張され、股関節肢位の影響は受けない。しかし、筋膜張力伝達の観点から考えると、大腿直筋が伸張される股関節肢位では内側広筋や外側広筋も同様に伸張される可能性がある。本研究の目的は、股関節肢位の違いが内側広筋と外側広筋の伸張の程度に与える影響を検証することとした。

 

【方法】健常男性14名を対象とし、次の4種類の股関節肢位をランダムに行った:股関節90度屈曲位(屈曲条件)、股関節5度伸展位(伸展条件)、股関節5度伸展位かつ10度内転位(伸展内転条件)、股関節5度伸展位かつ40度外転位(伸展外転条件)。各肢位とも背臥位かつ膝関節90度屈曲位で実施した。これら4肢位および安静位で、超音波診断装置せん断波エラストグラフィ機能を用いて内側広筋と外側広筋、大腿直筋の弾性率を測定した。弾性率は高値であるほど筋が硬いことを示し、筋伸張位ほど高値となることが先行研究により示されている。各筋の弾性率について、肢位間の比較のために反復測定一元配置分散分析を行い、事後検定としてBonferroni法による多重比較を行った。有意水準は0.05とした。

 

【結果】反復測定一元配置分散分析の結果、内側広筋と外側広筋、大腿直筋の全てにおいて主効果を認めた。各筋とも、伸展・伸展内転・伸展外転条件が安静・屈曲条件より有意に高値を示し、さらに伸展・伸展内転条件が伸展外転条件より有意に高値を示した。

 

【考察】内側広筋と外側広筋は膝関節伸展の単関節筋であるが、股関節伸展位、あるいは股関節伸展内転位でより伸張された。これらの肢位で大腿直筋が伸張されたことにより、大腿直筋に付着する筋膜が移動し、大腿直筋に隣接している内側広筋と外側広筋も同様に伸張されたと考えられる。また、股関節伸展外転位では各筋とも、股関節伸展位や股関節伸展内転位に比べて伸張されなかった。大腿直筋は股関節外転モーメントアームを持つため、股関節外転位では短縮位になったと考えられる。さらに大腿直筋が短縮位となったことで大腿四頭筋間の筋膜による機械的相互作用が生じにくくなり、内側広筋と外側広筋は十分な伸張が得られなかったと考える。

 

【結論】大腿直筋の伸張位である股関節伸展位、または股関節伸展かつ内転位において、膝関節伸展の単関節筋である内側広筋・外側広筋も同様に伸張されることが明らかになった。

 

 

 

 

私なりのポイントは

 

 

●単一筋の伸縮によって周囲の筋膜が引き伸ばされ、隣接している筋が変形することが先行研究で報告されている

 

 

●股関節肢位の違いが内側広筋と外側広筋の伸張の程度に与える影響を検証

 →股関節伸展位、あるいは股関節伸展内転位でより伸張された

 

 

●大腿直筋が伸張される

 →大腿直筋に付着する筋膜が移動

 ⇒隣接している内側広筋と外側広筋も同様に伸張された

 

 

●股関節伸展外転位では各筋とも、股関節伸展位や股関節伸展内転位に比べて伸張されなかった

 

 

 

 

蹴り出す直前は股関節伸展位でパワーを溜める

 

 

これはとても興味深い研究ですね。

 

我々セラピストは基本的に論文を読むべきです。

 

こうやって水泳に活かす為・ブログに書くために定期的に論文を読んでいるので、一石二鳥ですね。

 

 

私個人的には、バタフライのキックで重要なのは股関節内旋しながら打つことだと思っています。

 

練習でもとても意識しています。

 

以前にも書いていますが、純粋に股関節内旋筋であると、大腿筋膜張筋、中殿筋・小殿筋、大内転筋が挙げられます。

 

それに加え、実は大事だと思っている筋肉は内側広筋なんです。

 

膝の伸展筋ですね。大腿四頭筋の中の1つです。

 

大腿部の内側についています。

 

もちろんキックを打つ時には膝が曲がっている状態から膝を伸ばして打ちます。

 

その時に働きますね。

 

内側広筋がきちんと働くことで、股関節が内旋し、下腿の内旋まで運動連鎖としてつながるんじゃないかななんて思っております。

 

ただ、内側広筋は単関節筋です。

 

単関節筋なので他の関節の影響は受けない!・・・と思いきや、周囲の筋膜が引き伸ばされることで、隣接している筋が変形することがあるというではありませんか!!

 

これはなるほどでしたねー。

 

股関節が伸展位(伸展内転位)で大腿直筋が伸張されることで、その筋膜の引き伸ばされ、内側広筋も伸張されるということです。

 

これを水泳に活かそうと思ったら、バタフライのキックを打つ直前はやや股関節伸展位から振り下ろした方が、大腿直筋+内側広筋が一瞬伸ばされることで伸張反射を使い、より強いキックが打てる・・・のではないかなと思いました。

 

筋肉は速度を伴って伸張されると、その後すぐに縮もうとする性質があります。

 

その力をキックに活かしたいところです。

 

筋トレでも実際に応用されているテクニック(SSC)ですね。

 

特に第二キックを打ち始めるタイミングで、股関節伸展からの振り下ろしを意識するとより良いかもしれません。

 

 

これはあくまでも私の仮説なので、合ってるかどうかわかりません。

 

ただこうやって論文で証明されている事実を、自分なりに仮説立てて知恵を振り絞るということが、他のスイマーにはない私の強みであり、ただの趣味であります。

 

どうかご参考になれば幸いです。

 

 

 

 

 

まとめ

 

 

股関節伸展を伴ってキックを打つことで、効率的に膝の伸展につなげよう。

 

 

では。