どうもパパかっぱです。
先日、私が職場で個人的に開催している月一回開催の触診勉強会でした。
今回は『棘上筋』です。
備忘録を兼ねて、棘上筋のお勉強です。
過去の触診はこちら↓↓
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棘上筋の解剖
【棘上筋の起始・停止】
(起始)肩甲骨の棘上窩に付着。
(停止)上腕骨の大結節、肩関節包に付着。
【棘上筋の主な働き】
肩関節における上腕骨の外転。上腕骨を関節窩に引き寄せて、肩関節を安定させる。
【棘上筋の神経支配】
肩甲上神経(C5)
【棘上筋に関する一口メモ】
棘上筋は、棘下筋・肩甲下筋・小円筋と共に、回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれています。
肩甲棘の上部を探ってみると、触診する事が出来ます。肩関節の異常の場合、よく疑われますのが、この棘上筋です。
外転して維持することが出来ない場合や、痛みがでる場合は、この筋に異常が考えられます。
五十肩が疑われる場合は、この回旋筋腱版の異常もなく、更に整形学的には、なんら異常が見当たりません。抱縮が出現すると、これらの筋肉に痛みが出ることは多いです。
棘上筋触察のポイント
●まず肩甲骨を触診できることが大前提。肩甲骨さえしっかりととれれば、あとは棘上筋の上縁を触察する。
●棘上筋は、頭側から見ると斜め前方方向に向かう。
●僧帽筋の深層にあるため、僧帽筋の走行に沿いながら探していく。僧帽筋の深部で、のったりおりたりできるボリュームがある筋肉を探す。
●上肢を自動で、外転しようとしてもらう程度で、ボリュームのある筋肉が確認できる。
●棘上筋の走行方向に沿って辿り、前縁をのったり落ちたりするポイントを探りながら停止部に向かう。下縁は肩甲棘上縁に沿う。
●肩鎖関節の下を通って停止部である上腕骨大結節へ向かうため、この部位は触診できない。
●停止部:上腕骨外側をそのまま頭方向に辿っていけば、大結節の上端に当たる。2横指程度。
臨床的視点
基本的には、初期挙上における骨頭のディプレッサーとしての働き(三角筋とのフォースカップル)があり求心位を保つ上でとても重要な筋です。
また、肩関節肢位により、作用が多少異なってきます。
まず、肩関節下垂位・内外旋中間位で考えると、棘上筋のほとんどの線維が上腕骨の内外旋回旋軸より前方に位置しています。ということは、棘上筋は挙上+内旋作用を有することになります。
では、外転筋としての棘上筋はどの肢位で働きやすいのか?
中間位から上腕骨を外旋してみると、停止部が後外側へ移動し、上腕骨の回旋軸上に棘上筋の線維が近づくため、棘上筋は外旋位で外転筋としての作用がより高くなることが考えられます。
そのため、臨床で棘上筋の損傷もしくは機能低下を評価する際は、Thum up肢位(親指が上を向く)で行う方が良いと考えられます。もちろんこれだけで決めつけるのは良くないですが、特に棘下筋との鑑別評価を行う上で有用な知識になってくると思います。
また、棘上筋の線維ごとに作用が異なるということも言われており、前方線維は挙上+内旋作用、後方線維は挙上+外旋作用があるとされています。
まず、大事な視点としては教科書的に“肩関節外転”と覚えない方が良いですね。
外転の主動作筋というよりは、外転初期に上腕骨頭を関節窩に求心的に安定させる役割の方が大事です。
棘上筋の腱板が上腕骨を求心的に安定してくれているからこそ、三角筋が強い肩関節外転をもたらしてくれます。
さらに、触診のところでも書いたように、肩中間位だと棘上筋はやや斜め前方に走行します。
つまり、内旋作用も要する可能性があるということですね。
肩関節の位置に注意しながら、棘上筋の働きを考える必要がありそうですね。
【運動肢位の変化と肩関節周囲筋の筋活動について】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/17/0/17_17-A02/_pdf/-char/ja
↑詳しく知りたい人は、この論文を読むと、三角筋の活動に先行して棘上筋が働くということが書いてあります。
もっと分かりやすく、棘上筋について知りたいという方はこちらを見ると良いかもしれません↓↓
まとめ
棘上筋の筋走行を理解して、肩関節の位置に注意しながら作用を考えましょう。
では。