2児のパパスイマーの“継続は力なり”!

マスターズ水泳歴12年。短時間で効率良い練習を日々研究。-理学療法士からの視点を踏まえて-

【論文考察】『ストレッチングによる小胸筋の即時的な柔軟性変化が肩甲骨運動に与える影響』を水泳に活かす

どうもパパかっぱです。

 

毎年恒例の煩悩スイム(50m×108本)に向けて、長距離の練習を始めました。

 

100×12本 (1”45)

 

めっちゃしんどいです・・・。

 

長距離はまるっきり向いてないみたいですね。

 

もう6本目くらいで心おれかけるし、飽きちゃうんですよねー。

 

まぁ、年末までは続けます。

 

 

さて、論文考察のお時間です。

 

 

 

 

ストレッチングによる小胸筋の即時的な柔軟性変化が肩甲骨運動に与える影響

 

 

 

 

www.jstage.jst.go.jp

 

【目的】肩甲骨周囲軟部組織の柔軟性低下,特に小胸筋の短縮は肩甲骨異常運動に関係すると報告されており,我々はこれまでに小胸筋の効果的なストレッチング方法及びその効果を調べてきた。そこでこれまでの研究を元に,ストレッチングによる小胸筋の即時的な柔軟性の変化が肩甲骨運動に与える影響を検討することを本研究の目的とした。

 

【方法】ストレッチングによる変化を調べるため,各肩甲骨運動のストレッチング前の動作課題変化量(ΔPre)とストレッチング前後の動作課題変化量(ΔPost)を算出した。小胸筋のストレッチングは,安静座位にて肩関節150°外転位から他動的に最大水平外転,最大外旋を行う方法を5分間(30秒×10回)実施した。超音波診断装置せん断波エラストグラフィー機能(SuperSonic Imagine社製)を用いて,ストレッチング前後に小胸筋の弾性率を計測した。

 

【結果】ストレッチング後に小胸筋の柔軟性向上が認められた。肩甲骨運動の変化量については,肩甲骨面挙上では上腕骨挙上40°~120°の肩甲骨外旋角度と60~120°の後傾角度,外転では30~120°の外旋角度と後傾角度,結髪動作では60~120°の後傾角度において,ΔPostはΔPreと比較して有意に増加した。

 

【結論】ストレッチングによる小胸筋の即時的な柔軟性の向上は,動作課題中の肩甲骨運動を変化させることが示された。小胸筋のストレッチング後に増加した肩甲骨の外旋と後傾は上肢運動に重要であり,本研究結果は,肩甲骨異常運動の治療戦略におけるストレッチングの有用性を示す一助となると考える。

 

 

 

 

 

私なりのポイントのまとめとしては、

 

●肩甲骨周囲軟部組織の柔軟性低下、特に小胸筋の短縮は肩甲骨異常運動に関係する

 

●安静座位にて肩関節150°外転位から他動的に最大水平外転・最大外旋を行う方法を5分間(30秒×10回)実施

 →ストレッチング後に小胸筋の柔軟性向上が認められた。

 

●小胸筋の即時的な柔軟性の向上は、動作課題中の肩甲骨運動を変化させることが示された。

 →肩甲骨の外旋と後傾は上肢運動に重要

 

 

 

小胸筋の解剖

 

 

 

小胸筋(しょうきょうきん)-筋肉.guide

 

【小胸筋の起始・停止】

(起始)第3~第5肋骨と肋軟骨の連結部に付着。

 

(停止)烏口突起に付着。

 

【小胸筋の主な働き】

肩甲骨を下制する。肋骨を挙上する。

 

【小胸筋の神経支配】

胸筋神経(C7~C8)

 

【小胸筋に関する一口メモ】

小胸筋は、大胸筋の下に隠れていて、見えません。烏口突起に指を当て、胸筋群に力を入れると、小胸筋の停止部付近が緊張しますので、若干触診は可能です。この筋肉は、肩甲骨を動かす筋肉ですが、特に、上腕を内転する時に、よく働き、肩甲骨を下制し、外転し、下方回旋します。また、前鋸筋と共に働き、深呼吸の際は、肋骨を持ち上げる働きもしています。

 

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小胸筋は臨床の場でもキーマッスルになりやすい筋肉ですね。

 

小胸筋が短縮や緊張が高くなると、肩甲骨の動きが悪くなってしまいます

 

治療としては、小胸筋を直接圧迫すると結構痛みが伴うので呼吸をうまく使いますね。

 

肋骨についてるので、呼吸動作と共に胸郭を動かしながら緩めていくと効果的ですかね。

 

この論文では、思いっきり手を外に広げて直接的に小胸筋を他動でストレッチしてます。

 

外旋もしているので、親指の向きは外側に倒します。

 

自分でやる際には、腕を広げた状態(親指は外側)で深呼吸をしてみてください。

 

胸の奥にある小胸筋が緩めば、肩甲骨の動きも良くなるかもしれません。

 

 

水泳でも肩甲骨の動きは重要です。

 

小胸筋はパソコン作業や姿勢の影響で短縮しやすい筋ですので、日常的にも泳ぐ前にもケアしたい筋肉ですね。

 

ここで大切なのは、ストレッチの効果って短いんですよ。

 

論文のタイトルにあるように、即時的な柔軟性の変化に過ぎないんですよ。

 

じゃぁやる意味ないか?というとそうではなくて、例えば

 

●運動前に柔軟性を上げる

 →肩甲骨の運動範囲を拡大する

 →いつもと違う上肢の運動ができる

 →水を多くかける

 →楽に・速く泳げる

 ⇒運動学習につながる

 

といった、そのあとの運動パフォーマンスにおいて重要となってきます。

 

今までにない感覚が入力されるということは、新たな運動パターンを作り出せますからね。

 

それを繰り返せば、自動化されて小脳核に蓄えられるので、徐々にフォームも統一化されていくと。

 

そんな流れでしょうか。参考になれば幸いです。

 

 

 

まとめ

 

 

小胸筋をストレッチして、肩甲骨の動きを良くしよう

 

 

では。