どうもパパかっぱです。
以前に競泳選手の足部形態の特徴について書きました↓↓
そこで『競泳選手は扁平足を呈しやすい』という特徴があることが分かりました。
扁平足、我々専門職の言葉に置き換えると【内側縦アーチの低下】です。
内側縦アーチの低下ときたら、我々理学療法士はすぐに後脛骨筋がキーワードとして一番最初にポンっと浮かびます。
ツイッターで「そこを詳しく!」というリクエストが来たので、詳しく書いてみます。
そういう反応があると嬉しいですね。
こんなブログでも見てくれている人が少しでもいると分かると、モチベーションにつながります。
足内側縦アーチに対する後脛骨筋の効果
【はじめに、目的】
後脛骨筋は足アーチを支える重要な動的支持組織であると報告され、後天性扁平足の主な原因は後脛骨筋機能不全だと言われている。足ア−チは骨・関節・靱帯による静的なサポートと筋肉による動的なサポートが互いに協力することにより、重力に逆らい直立二足歩行する人体の重さを支えている。適度な弾性をもった足ア−チは歩行時の衝撃を緩和し、より中枢の関節を保護している。
本研究の目的は反復垂直荷重時に、足内側縦アーチに対する後脛骨筋の動的な効果を検討することである。
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【結果】
最大荷重時BAIの初期値は後脛骨筋牽引群0.239±0.009、後脛骨筋非牽引群0.239±0.014だった。両群共に最初の1,000サイクルでBAIは大きく低下した。その後、後脛骨筋牽引群の平均BAIはほぼ一定の値で経過し、10,000サイクルで0.212±0.011となった。一方で後脛骨筋非牽引群のBAIは徐々に低下し続け、3,000サイクルでlow archの基準となるBAI<0.21になった。7,000サイクル以降で両群間に有意差を認め、後脛骨筋牽引群は内側縦アーチが維持されていた。
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【考察】 本研究結果で後脛骨筋牽引群の平均BAIは、最終的に荷重時BAI>0.21を維持した。このことは反復荷重条件においても後脛骨筋が内側縦アーチ保持に重要であることを示した。一方、後脛骨筋非牽引群では最終的にlow archの基準に至ったことから、静的支持組織のみでは内側縦アーチ保持が困難であることがわかった。【理学療法学研究としての意義】 本研究は扁平足変形の主原因である後脛骨筋機能不全に対する運動療法やその予防に有用な情報を提供すると考えられた。
私なりのポイントは
●後天性扁平足の主な原因は後脛骨筋機能不全
●後脛骨筋が内側縦アーチ保持に重要である
●静的支持組織のみでは内側縦アーチ保持が困難である
です。
後脛骨筋のポイントとは
以前に後脛骨筋の触診の記事も書きました↓↓
【起始停止】
(起始)脛骨の後面、腓骨の後面に付着。
(停止)舟状骨、全楔状骨、立方骨、第二~第五中足骨に付着。
【主な働き】
足関節を底屈する。足関節を内反する。
ポイントは、後脛骨筋は舟状骨付近に停止することですかね。
まぁ簡単に言うと足底内側の真ん中らへんに付きます。
下腿の後面深部から走っているので、この後脛骨筋が機能しなくなると内側の骨が低下してしまうんですね。
それにより内側縦アーチの低下、つまり扁平足になりやすいです。
専門的に言うと、後脛骨筋腱機能不全(PPTD)です。
後脛骨筋腱は内果(足首の内側のでっぱり)後方からほぼ直角に角度を変えて舟状骨に向かうのが特徴です。
ここが血流が乏しくなりやすく、腱の退行変性が生じやすくなってしまいます。
そうすると、後脛骨筋の緊張力が正常に伝達できなくなり、足部アーチ機能が低下してしまうんですね。
足部アーチ機能が低下してしまうと、バランス機能の低下や外反母趾、下腿から股関節・骨盤への運動連鎖など様々な影響を及ぼします。
骨盤まで影響があるともちろん脊柱、肩、頸部にも影響があるので、水泳のストロークにも関わってくるでしょうね。
まぁ卵が先か鶏が先かの問題で、扁平足から発生したのか、実は頸部や肩の崩れから扁平足になったのかは人によって様々だと思います。
いずれにしても以前の記事で書いたように、競泳選手は扁平足が多いというのが分かっています。
じゃあ、どうするか。
人によって原因(主要問題点)を見つけなければいけませんが、もし後脛骨筋が主な原因だと仮定した場合、一般的な対策としてはやはり『インソール』と『運動療法』でしょうかね。
具体的には、後脛骨筋の単独収縮を促したい場合、足部内転運動が効果的とされています。
なので、バンドを用いて抵抗を加えて足部内転運動を行う。この際、股関節の代償動作が入らないように注意します。
また、荷重位でのトレーニングとして、カーフレイズ(踵上げ)トレーニングを行います。
踵を上げる際に、足部内がえしを強調するとより効果的です。
さらに、自分に合ったインソールを作成することも足部アーチ保持作用を果たすので効果的です。
補足ですけど、足部内側縦アーチの低下は後脛骨筋だけでなく、長趾屈筋なども関与します。
タオルギャザーといって、足の指で床にひいたタオルを手繰り寄せるなどの運動も良いかもしれませんね。
前回の論文で
【 バタ足キック時の足関節最大底屈時の内反角度とキックパフォーマンスとの間に相関を認めた】
という文がありました。
足関節底屈+内反ってもろ後脛骨筋の働きですよね。
つまり、水泳のキックって実は後脛骨筋が大事だったりするのかな、なんて思いました。
この内反がポイントですよね。
たしかに私の感覚としても、バタフライのキックのときに股関節からしなるように足部内反で蹴った直後に、下腿の間を水がスーッと抜けていく感覚が得れたときにはうまくいっている気がします。
感覚の話なので分かりにくいですね。
もしより詳しい論文がありましたら、また紹介します。
今回はやや専門的になりましたが、たまにはこういうのもありかもしれませんね。
私の勉強にもなります。
リクエストありましたらご依頼ください。
ちなみに、足関節の本といえば
がとても勉強になりますよ。
まとめ
競泳選手に多い扁平足の知識を深めて、対策を練ろう
では。