2児のパパスイマーの“継続は力なり”!

マスターズ水泳歴12年。短時間で効率良い練習を日々研究。-理学療法士からの視点を踏まえて-

『競泳選手における体幹深部筋トレーニングが蹴伸び動作に及ぼす影響』からの学び

どうもパパかっぱです。

 

 

最近は、呼吸やドローインなどについて調べています。

 

今日は、体幹深部筋について面白い論文を見つけたのでご紹介します。

 

私はただのマスターズスイマーですが、職業柄、論文を読むことにはある程度慣れていますので、論文系の記事も今後は書いていきたいと思っています。

 

 

 

体幹深部筋トレーニングが競技パフォーマンスに与える影響

 

 

 

https://www.kozuki-foundation.or.jp/ronbun/spresearch/spres11_narita.pdf#search='%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3+%E8%AB%96%E6%96%87'

 

競泳選手における体幹深部筋トレーニングが蹴伸び動作に及ぼす影響

 

【目的】体幹深部筋トレーニング介入前後の蹴伸び動作のパフォーマンスを比較し、体幹深部筋トレーニングの競泳競技のパフォーマンスへの効果を明らかにすることを目的とする。

 

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【考察】
介入前後の到達距離に有意な差を認めなかった。有意差を認めなかったが、介入直後が最も到達距離が短かった。これは体幹深部筋トレーニングがやや高強度なトレーニングであったため、疲労により、到達距離が減少したと考える。

また、蹴伸びが真っ直ぐ進まず、コースロープにぶつかってしまい到達距離が短くなってしまった被験者もいた。これは蹴り出し時に両足の力に差が生じてしまった、または介入時による体幹深部筋への刺激に左右差があったからだと考える。

本実験は蹴り出す際の接地位置、水深、方向について被験者に対し特に指示をしなかった。しかし、杉浦らは到達距離の長短について、蹴り出しの接地位置が関係していることを報告している 1)。

また、蹴り出す方向はほとんど水面と平行に行うことと、潜行する場合の水深は 0.35m~0.60m 付近が適切であるとの報告もある 2)。

水中ハイスピードカメラによる 2.5m および 7.5m 付近の映像から、試技によって水深や蹴り出す方向が変わってしまった被験者がいた。そのため、蹴り出し時の接地位置、蹴り出す方向が到達距離に影響を与えたと考えられる。
介入直後、介入15 分後、介入30 分後の試技はそれぞれ 1 回のみであったため、蹴り出し時にうまく壁を蹴ることができなかったり、水深や方向を誤ってしまったりすることで、体幹深部筋トレーニングが姿勢に与えた影響を相殺してしまったことも考えられる。

多くの被験者が胸式呼吸を行っていたが、呼吸法について特に指定しなかったため、より空気を取り込もうと腹式呼吸を行った被験者がいた。丸山らは腹式呼吸を用いることで、胸式呼吸と比較して浮心の重心に対する相対位置がより尾側に位置することを報告している 3)。浮心と重心のずれによって下肢が沈む方向へモーメントが働き、圧力抵抗の増大につながる。そのため、呼吸法の違いによって圧力抵抗が変化し、到達距離に影響を与えたことも考えられる。
以上より、蹴伸びの到達距離には姿勢以外に影響を及ぼす要因が多いため、体幹深部筋トレーニングが蹴伸びの到達距離に影響を与えなかったとは言えないと考える。
介入直後、介入 15 分後、介入 30 分後のいずれも介入前より到達距離が向上した被験者 3 名に関しては、2.5m~7.5m の平均速度も増加していたが、全被験者について見ると有意差を認めなかった。

杉浦らは、水中の移動速度を保持するのは姿勢であるが、速度を作り出すのは壁を蹴る力積であると報告している 12)。介入後それぞれ 1 回のみの試技であったため、うまく壁を蹴ることができず力積が小さくなり、体幹深部筋トレーニングで姿勢が良くなっていても速度が遅くなった可能性がある。

また体幹深部筋トレーニングは、スタティックなものではなく四肢を動かすダイナミックなものを採用したため、体幹深部筋だけでなく蹴り出し時に使われる大腿四頭筋など下肢の筋にも刺激が入り、被験者によっては下肢の筋が疲労し力積が小さくなってしまったと考える。

 

 

 

方法、介入、結果、統計など詳しくは原著をご覧ください。

 

率直な印象としては「この考察なんやねん」ですね(笑)

 

結果が、仮説と違ったため、ありとあらゆる方向から“仮説はおそらく正しいが、今回は結果が伴わなかった”って言っているように私には読めてしまいます。

 

そもそもプレ実験とかでこれらの影響って最初から考慮できるような気もするんですけどね。

どうなんでしょう。

 

おそらく、“体幹深部筋トレーニングは間違いない”という強いバイアスがあるのではないかなーと個人的には見てとれました。

 

ただ、トレーニングとしては行ってみる価値はあると思うので、原著に写真付きでトレーニング方法は載っていますので、見てみてください。

 

体幹トレーニングについて、個人的には巷で言われている“体幹さえ鍛えておけば間違いない”みたいな風潮は嫌いです。

特に何も考えず、ドローイン至上主義みたいなことになってしまいがちですからね。

何度も言いますが、私はドローインはやや反対派です。

 

 

まぁ、それは置いといて、私が興味を引いた箇所は、

『丸山らは腹式呼吸を用いることで、胸式呼吸と比較して浮心の重心に対する相対位置がより尾側に位置することを報告している 3)。浮心と重心のずれによって下肢が沈む方向へモーメントが働き、圧力抵抗の増大につながる。そのため、呼吸法の違いによって圧力抵抗が変化し、到達距離に影響を与えたことも考えられる。』

 

といった考察部分がありました。

 

これって私がで妄想仮説していた呼吸法にかなり近いのではないかな、と思いました↓↓

 

重心と浮心に着目して水泳のバイオメカニクスを考察 ~呼吸パターンを変えて美しいストリームラインをとろう~ - 2児のパパスイマーの“継続は力なり”!

 

水泳のための呼吸②:努力呼気と胸郭の関係 ~腹圧呼吸で、きれいなストリームラインがとれるように~ - 2児のパパスイマーの“継続は力なり”!

 

 

『呼吸様式が重心位置と浮心位置に与える影響水泳における水平姿勢維持への示唆』の論文も見つけたので、次回はこれについて私なりの考察をしていきたいと思います。

 

論文を読むメリットとして、その論文の内容の知見を手に入れることはもちろんですが、考察に他の論文引用箇所がついてあることで、芋づる式に知識を手に入れれることです。

 

もし余裕があればみなさんも見てみると面白いかもしれません。

 

今回はやや薄い内容になってしまいましたね。

次回は頑張ります。

 

では。