2児のパパスイマーの“継続は力なり”!

マスターズ水泳歴10年。短時間で効率良い練習を日々研究。-理学療法士からの視点を踏まえて-

【論文考察】『運動学習にかかわる小脳の働き』から学ぶ練習への取り組み方 ~フィードバック情報を中心に~

どうもパパかっぱです。

 

 

7月になったので、いよいよ左棘上筋腱板断裂(自己判断)の安静期間は終わりました。

 

普通にスイム練習を開始しました。

痛みなく泳げています。

 

ぼちぼち、低負荷から筋トレも再開したいと思います。

 

せっかくの夏なので、腕を太くしたいですね。

今はマスターズ大会がないので泳ぎのタイムをあげるより、見せる筋肉をつけたいです。

かっこいいパパでいたいんですよねー。

 

 

さて、『運動学習にかかわる小脳の働き』という論文から小脳の働きを知り、水泳の練習にどう活かしていくかを勉強していきましょう。

 

 

 

 

 

 

運動学習にかかわる小脳の働き

 

 

 

 

www.bekkoame.ne.jp

 

「内部モデル」の概念を中心とした小脳による運動制御と学習理論が確立されてきた。本稿では、従来の運動制御仮説を概説した後に、運動学習における小脳のはたらきに関する理論を解説する。

 

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運動中の腕は、「かたい」制御ではなく、「やわらかい」制御を受けていることがわかった。また、脳は仮想軌道を直接計算して制御しているとは考えにくく、腕のモデルを脳内部にもつことによって、最適な軌道や運動指令の計算をしていると考える方が自然である。この事実から、古典的な仮想軌道制御仮説は、ほぼ否定され、小脳の内部モデルの学習を中心とした脳の計算論が趨勢となった。

 

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 運動中の学習によって小脳は、筋骨格系への入出力関係、つまり、運動指令とその結果生じる軌道との関係の情報を蓄える2)。


Allen-Tsukahara7) の随意運動の制御モデルによれば、大脳皮質連合野が小脳外側部と大脳基底核の助けを借りて運動が計画された後、運動野から運動指令が脊髄を通して筋骨格系に送られる。体性感覚情報は、小脳傍虫部にフィードバックされ運動の修正を行う。

 

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まず連合野から運動野に目標軌道が送られ、運動野から運動指令が脊髄へ伝えられる。実現した運動の情報は、大脳皮質を介するトランスコーチカルループによって運動野にフィードバックされる。このフィードバック回路でも運動は可能だが、フィードバック時間遅れなどの理由で、速いなめらかな運動はできない。そこで、小脳外側部-赤核系は、目標軌道と運動指令をモニターし、運動にみあった運動指令を出力する内部モデルを学習によって小脳に形成する。

内部モデルとは、脳の外部(例えば、腕など)の入出力関係を表す概念である。例えば、ある運動指令を入力したときに出力される運動軌道の関係を順モデルと呼び、逆に、ある軌道を実現させるための運動指令を逆算するような関係を、逆モデルと呼ぶ。そして、この順逆モデルを合わせて、内部モデルと呼ぶ。内部モデルが存在すれば、目標とする軌道に見合った運動指令を簡単に計算することができる。内部モデルの学習では、小脳のプルキンエ細胞の可塑性と、プルキンエ細胞にシナプスをもつ登上線維の活動が重要である。

すなわち、目標軌道と実現軌道の間の誤差は運動指令の誤差信号(教師信号)として下オリーブ核から登上線維を通って小脳プルキンエ細胞に伝達される。登上線維からの入力は、プルキンエ細胞に長期抑圧などのメカニズムによって可塑性変化(伝達効率の変化)をもたらし、運動の遂行毎に小脳の内部モデルの修正が行われる。学習がすすめば速いスムーズな運動がこの回路を用いて可能になる。これをフィードバック誤差学習feedback-error learning 8)といい、運動制御と運動学習を統合した理論といえる。

フィードバック誤差学習における「フィードバック」とは、誤差情報をフィードバックすることによって内部モデルが修正され、徐々に正確なフィードフォワード運動指令を出力する内部モデルが生成されるように利用されることを意味している。
 

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フィードバック誤差学習理論が正しいことは、すでに多くの研究から支持されている。運動指令にあたるプルキンエ細胞の単純スパイク発火頻度の変化が理論の予測と一致していること9) が示され、登上線維入力によりプルキンエ細胞に生じる複雑スパイクが運動指令の誤差情報を表していること10) が報告されている。また、内部モデルが小脳に存在することを直接証明する注目すべき結果が最近報告された。

Imamizuら11,12)は、機能的MRIによって、運動学習初期に小脳の広い範囲が活動し、学習後期にはその範囲が狭まることを示した。この事実のみでは、小脳が運動学習に関与しているが、内部モデルが小脳に存在するという証拠にはならない。そこで、運動学習中の小脳の領域を、その活動が誤差に比例する部分とそうでない部分に分け、その活動の変化を解析した。その結果、限局された範囲に内部モデルを反映する活動領域が存在することを証明した(図2)。
 以上から、フィードバック誤差学習のスキームが、運動制御と学習の仕組みであることがわかる。

 

 

 

 

水泳への活かし方

 

脳になじみのない人からしたらやや難しい話ですね。

 

掻い摘んで言うと、ヒトの動きってものすごい複雑ですよね。

 

ある運動に関わる筋肉・関節が1つ増えるだけで、バリエーションが爆発的に増えます。

 

 

これを『ベルンシュタイン問題』と言います。

 

①自由度の問題

・人間の身体には多くの筋肉・関節があり、さらにそれらを制御するための運動ニューロンを考慮すると莫大な数になる

 

②文脈の問題

・事前の運動によって(環境の変化が起こるため)同じ筋の収縮でも、異なる運動の結果をもたらす

 

 

つまり、えげつない数のバリエーションの中でその都度、運動を生成しているはずがないということです。

 

そこで、小脳の内部モデルという話が出てきます。

 

内部モデルによって、目標とする軌道に見合った運動指令を簡単に計算することが出来ます。

 

そして、「目標軌道」と「実現軌道」の間の誤差を学習していきます。

 

その誤差から運動の遂行毎に小脳の内部モデルの修正が行われます。

 

学習がすすめば速いスムーズな運動がこの回路を用いて可能になります。

 

・・・ここで大事になるのが「フィードバック」情報です。

 

運動後の情報をフォードバックし、誤差を得ることで内部モデルが修正され、徐々に正確なフィードフォワード運動指令を出力する内部モデルが生成されます

 

 

さて、ここから水泳のお話へ。

 

我々の日々の練習でも、このフィードバック情報をいかに大切にするかがカギだと思っています。

 

マスターズスイマーにとって、練習に充てられる時間は少ないです。

 

極力、短時間で効率的な練習でベストを目指したいですよね。

私は一回の練習時間は、20~30分です。

 

その中で、いかにこの内部モデルの修正をかけれるかが勝負だと思います。

 

そのためには、

・自分で知識を増やしたり

・鏡を見て自分が思うような動きが出来るか確認したり

・自分の泳いでいる姿をビデオに撮ってもらったり

・第三者に運動を見てもらい、正確に伝えてもらったり

・フォームの修正を熟練者に習ったり

 

などなど様々なフォードバック情報の入れ方があると思います。

 

大体ほとんどの人が自分が思っているように動けていないですから。

 

スラムダンクの桜木花道も自分がイメージしていたジャンプシュートとビデオでみた自分のジャンプシュートの差に愕然としていましたよね。

 

そこから学習は始まります。

 

あ、私の大好きな武井壮さんも触れていましたよ↓↓ 

www.papakappa-swim.com

 

あと、どの筋肉を使って・どういう方向に・どういう運動を起こしたいか、を明確に脳で意識して出来るようになる必要があるということも過去に書いていました↓↓

www.papakappa-swim.com

 

 

何が言いたいかというと、漠然と日々の練習をこなすのではなくて、毎回テーマをもって、何のどこを変えたいかを明確にして練習に取り組んだ方が良いと思います。

 

その中で適切なフィードバック情報を得て、誤差修正していくことで、徐々にスムーズな運動が可能になっていきます。

 

練習量増やしてやった気になっているというのが一番危険だと私は思っています。

量なんて全然必要ないと思っている派です(笑)

むしろ少なきゃ少ないほど良い。

 

私の密かな野望として、全国マスターズスイマーの中で“練習量の少なさ”と“水泳道具にかける費用の少なさ”は負けたくないんですよね(笑)

 

 

フィードバック情報の具体的な頻度や内容に関しては、今後調べていきたいと思います。

 

 

ちなみに、運動学習については以前書きました↓↓

www.papakappa-swim.com

 

 

まとめ

 

 

適切なフィードバック情報を得るために、知恵を絞りましょう。

 

 

 

では。